2004
july

7/10
7/27






7月10日

気が付くと僕は独りだった。
どうしようもなく孤独だった。
自分が世界から切り離されたような気がした。
そう考えると心がざわざわした。
暗い闇の底へ落ちているようだと思った。

僕は無理矢理心を押さえ込もうとした。
自分を落ち着かせるのに必死だった。
心を冷たく硬くするように努めた。
ずっしりと重くて硬い、冷たい石を想像した。
僕は冷たい石になり、抗うこともできずに海の底へ沈んでゆく。

僕にはもう何の目標もありはしない。
求めてもいけないような気すらした。
誰も傷つかないように、そして僕が傷つかないように、じっとしている。
僕は人生のなるべく多くの部分を諦めようとした。
身体を丸めて、眠ったまま、ゆっくりと人生の終わりを迎えられればいいのにと思った。
喜びも無い代わりに苦しみも無い冷たい石のように、揺るぎの無い安定した存在になりたかった。

何年か何十年か経った僕を想像する。
暗い部屋で、1人身体を丸める年老いた自分を。
なんて寂しい姿なんだろうと思う。
それは魂が震えるような悲しい光景だった。

世の中には絶望したくなるようなことがたくさんある。
僕はそれに対抗できるような力は無く、ただ這いつくばって祈ることしかできない。
目を閉じ耳を塞ぎ、身体を丸めて悲しいことが自分の上を通り過ぎていくのをひたすら待つほかない。
他にどんなやりようがあるって言うんだ。



7月27日

「そこに山があるからさぁ…」

これは昨年、僕が日本ランキング1位であるところのマウント・フジを倒した直後、CNNのインタビューに対して答えた台詞である。 勿論まったくのオリジナルであり、もし仮に類似する既存の言葉があったとしてもそれはもうまったくの偶然としか言いようがないのである。
しかしこれはもう1年も前のことだ。
初戦で日本チャンプを倒してしまった僕は、目標を見失っていた。
日本チャンピオンを返上し、山に挑む気持ちなど忘れてしまったまま、ただ怠惰に坂道を転げ落ちるように日々を送っていた。
酒を飲んでは、チャンプだった自分を遠い目をしていつまでも懐かしむ。過去の栄光にしがみついたポンコツであり、今となってはただブヒブヒと鳴く豚だった。

そんな僕の元にある日、登山チームリーダーのコウヘイさんからの連絡がやってくる。

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この豚野郎!
相変わらずブーブーやってんのか?

富士登山からそろそろ1年。
俺はかわいいブーちゃん達の為に、次の企画を考えている。
「豚が人間になるためにはどうすればいいか?」
簡単だ。
山に登ればいい。
それも厳しい山だ。

今俺は日本国内の「ある山」に絞って計画を練っている。
当然豚には厳しい山だ。
高山病になる豚、崖から転げ落ちる豚、夜の寒さに凍死する豚、こってりした焼豚・・・

今年は死人、いや死豚がでることは覚悟のうえだ!!

そういうわけだからブーちゃん諸君、
今から心構えだけはしておきたまえ。
今年は「当日靴を買いに行く大馬鹿豚」がいないことを祈っている。

詳細は山梨豚からの連絡をまて。
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僕は全身の細胞がざわめくのを感じた。
忘れかけていたスピリッツを胸の奥に再確認した。

今回の相手は雲取山。2000M級の上位ランカーではあるが、僕の相手としては役不足だ。
しかし鈍った僕の調整相手としては悪くない。


かくして僕は今回、雲取山に挑んだわけだが、果たして結果はというと、見事勝利。実際トータルでかかった時間を見てもまずますの結果だった。特にチーム内頂上制覇勝負にて、2年連続のトップを果たしたことには満足しています。
(写真は、僕以外の人が持ってるので今回は無し)

本当に良かった。
当日昼まで「やっぱ止めよう。温泉入って帰ろう」という空気が流れていたなか、いや、本当に良かった。去年、富士山で小型犬や年寄りに抜かれて崩れ去ったプライドを、僕は今、取り戻した。

最終的には、八ヶ岳(赤岳)を倒して、世界に飛び出しますよ!
待て、次戦!