働く男3






前回の続きでローソンバイトの話。


バイトしていたそのローソンは、何しろバイトの平均年齢が低かった。
その当時俺は20歳だったと思うのだけれど、入った当初は俺がバイト最年長だったくらいだから。

更に俺自身は、前にやっていたセブンで、コンビニバイトは心得たものだった。

なんでバイト開始当初から、外面良く裏ではやりたい放題という典型的な悪の黒幕的な存在である所の俺だった。

のだけれど、2,3ヶ月で徐々に外面のメッキが剥がれてくる。

その最たるものが次のオハナシ。


その日もいつものようにレジにも行かず、一緒に入っていたバイト君と2人、ステンレスのトレイにありったけの廃棄予定の食い物を載せてバックルームでモリモリ食べていた。
その様子は、ちょっとしたパーティ。


廃棄予定になった食い物は、勿論食べちゃ駄目。
当時、店によっては食べてもOKって言ってる所もあったみたいだけれど本来駄目なはず。


俺の向かいにバイト君。
2人でコロッケなどがっついていると、彼が俺の後ろを凝視している。

振り向くとおっさん。

売り場からひょこっと顔を覗かせ、コロッケ咥えた俺らを見ている。
何だかシュールな絵ヅラ。

さすがの俺も見られたらヤバイと思う。

つうか、誰よアレ?
客か?
違う、見た事ある気が。
誰だ?


コロッケ咥えたまま数秒。

あ、わかった。


前に査察に来た本社の人だ。


って、ヤバイじゃん。


すわ! やべえ! ドウシヨウ!!
今更焦っても無駄だと思うのだけれど、どうしたらいいかわからずトレイを持って走り回る。


見られた?

「見られた!」

どうする!?

「とりあえずトレイを隠さなきゃ!」

って、何処に!? つうか、今更!?

「でも、バレてないかも!?」


トレイを持ってグルグル回る俺らの様子は、さながら狂ったカラクリ人形のよう。


「オーナーさん、いるかな…?」
様子を見ていた、おっさんが、やっと口を開いた。


ム、ムググ、オーナーでふか?(モグモグ) 急ぎでしたら電話しまふが…(ングング)


いや、駄目だろ。完全にアウト。


モグモグじゃねっつの。


で、やっぱ次の日バイト来た時にオーナーに言われた。
「食べてただろ?」って。

「いえ、知りませんよ」という程の厚顔さはまだ持ち合わせていなかった。

でも特に怒られなかった。
深夜勤務では確たる権力を持っていたので、向こうも強く叱って辞められるのが怖かったのだろう。

まあ実際、上に対して頭にきたのがトリガーで近々会社も辞めるしね。オーナーの判断は正しかったと思える。




そんな感じで、すっかりその店にも慣れていたある日、深夜4時くらいだろうか。 珍しい事に店内に客の姿は無く、雑貨の納入が終わり、ダルーとか文句タラタラでそれらの検品をしていた。 ピッピッとかいって。

若い男が1人入ってきた。(A君とします)

入り口で店内をキョロキョロと見回し、奥の飲み物コーナーへ行ってじっとしている。

ヘンなやつなどよく来るので、あまり気にもしないで検品を続けた。ピッピッ。

しばらくして別の男(Bくんとしよう)が店に飛び込んで来た。
息を切らしながらイラついた様子で店内を見回す。
奥にA君を発見すると即座に飲み物コーナーまで歩いて行、A君の腕をつかんだ。
するとAは、凄い勢いでその場に崩れ落ちて、


「助けてください! 助けてください!!」


と、少し離れた所で検品していた俺に向かって叫び始めた。

突然何なの彼?
訳の分からない俺は、「は?」ってな表情でA君を見た。ピッピッ。

こいつ駄目!
とか思ったのだろうか、倒れこんだまま、A君の台詞はB君に対しての「勘弁してください!許してください!」のリピートに変わっていた。
彼はいったい何をしたのだろうか。

B君はというと、
「いいから! 何にもしねぇから早く立て。ここにいると店に迷惑かかんだろーが! 」
とか言って、ご立腹だけれど比較的落ち着いた様子。とにかく店からA君を出そうとしていた。

しばらくの間、うずくまって断固倒れこみを続けるA君と引っ張り合いをしていたが、さすがにB君疲れた様子。やや諦めの色が。
その様子をポケーッと俺が見ていると(ピッピッ)、新たにC君が店に乱入。
A君を見付けるや否や、


「コノヤロォー!!」


と叫びながらA君に駆け寄り、倒れこんでいるA君の側頭部に川田ばりのサッカーボールキックの嵐。

時計仕掛けのオレンジ?
痛そうだなあ。ピッピッ。(真横で)


そしてとうとう、ご立腹で且つ理性的でないC君によって、A君はズルズルと店の外に引きずられていきましたとさ。

その後、彼らが去ると、今まで隠れていたらしいMくん(バイト入って1週間くらい)がバックルームからひょいと顔を出した。

「こ、怖かったですねえ…こんなコト頻繁にあるんですか?」

そんなにある訳ないじゃない。頻繁にあったら(このバイトも)飽きないんだけどねえ。

「け、警察には連絡しなくてもいいんですか…?」

…あ、あー、そっか。全然思い付かなかった。別にいいんでないの。メンドイし。男だし。

「………」



って、事件はまだあるんだけど、またまた長くなったので続きは次回つうコトで。

プロレタリア共!きっちり稼げよ!!
ほんじゃまた!