ミュールの女の子






最近暖かくなるにつれて、

目にする機会が増えたものがある。



ミュール。



なんなんだアレは。


いや、勘違いしないで欲しいのだけれど、

俺はミュールぜんぜん嫌いじゃない。



つうか、むしろカワイイと思う。



何がいけないのか。




音だ。




カツーンとも、

パツーンとも言えない、

形容し難いあの足音は何だ。



そもそも音が大きすぎる。



普通にアスファルトを歩いているだけでもそうなのに、

階段だと尚いけない。




パンッ!カンッ!パンッ!カンッ!パンッ!カンッ!パンッ!カンッ!




五月蝿いよ。

何のつもりだ。




不自然な程大きなあの足音は、

もしかすると女のコの方でもそれと意識してやっているのではないだろうか。





「今朝の音はどうもイマイチだったのよねー」


「足首のスナップをきかせるのよ」


「こう?」


パン!


「違う! こうよ!」


パツーン!


「こう?」


パン!パン!


「違う違う! こうだったら!」


パツーン!パツーン!





などという会話が、

女子更衣室などでは日常的に行われているとしたらどうしよう。


いや、どうしようってこともないのだけれど、

恐ろしい。




しかし、その程度ならまだいい。



こんな会話だったらどうしよう。






「ちょっとアンタ最近生意気なのよね。パンッ!パンッ!(ミュールで威嚇)


「うるさいわね、アンタに関係ないでしょ! カンッ!カンッ!(ミュールで威嚇)


「アンタいい加減にしなさいよ!パンッ!パンッ!(威嚇)


「やんのかゴルァ! カンッ!カンッ!(威嚇)






恐ろしい。

まったく恐ろしいじゃないか。




そもそもあの攻撃的な響きの音が良くないのではないか。


もっと温和な音な、

例えば幼児用サンダルのような音ならどうだろうか。




モキュモキュ




なんだコレは。

音なのかどうかも怪しいが。




「足首のスナップを効かせると良い音が鳴るのよ」


キュッ!キュッ!




やはり恐ろしい。

またしても重要なのは足首のスナップか。








でもきっとそんな理由で、

女のコの足首はキュッと引き締まっているのです。