明大前忍者






日本全土が湧いたワールドカップ。


ホントに日本全土が湧いたのか?


いや違う。俺は知ってる。


俺の出逢った凄い人。不思議体験。


日本予選2戦目となるロシアとの試合の日。


俺は明大前のタコス屋にいた。


試合は見事日本勝利。


知らん人と叫んで、抱き合い、ハイタッチ。


店を出るとジャパンブルー。


やっぱり叫んで、抱き合い、ハイタッチ。


そんな中、俺だけが見つけた。




道の隅っこを歩いて来る忍者。




別に何を比喩した訳でもなく忍者。


黒装束に背中の刀。


見紛う事無きオーソドックスタイプ。


あれが忍者か。生では初めて見た。








………忍者?








何故今忍者?


ものすごいブルーな顔してるし。


何で?


この世の不幸を一身に背負ったような。


どうしたんだよ忍者。


俺以外誰も忍者に気付いてない様子。


こんな人がいるのに、誰も気付いてない。




さすが忍者。




俺の横をトボトボ通り、そのまま暗がりに姿を消した。


つうか、ブハ! もう駄目!


忍者通り過ぎた後、俺大爆笑。


何で、何でそんな落ち込んでんだよ忍者!


他の誰もが、楽しげに大騒ぎしてるのに。


忍者って、大変そう。


ちょっとイメージと違ったけど。


本物の忍者は、


シュタタタタって走らない。


本物の忍者は、


ブルーな顔で道の隅を歩く。


闇に生きる男ってきっとこんな感じなんだ。