電脳遊戯 第3話


ひと眠りし、体がいくらか軽くなったスザクは、ナイトオブゼロの衣装を身に纏うとルルーシュの私室へ向かった。時刻は間もなく18時。
夕食を部屋で取ると言っていたから、丁度いいだろう。
そう思い室内へ足を踏み入れると、応接室のテーブルにはモ○バーガーの袋がたくさん置かれていて、C.Cがハンバーガーにかじりついていた。

「来たか枢木スザク。ほら、好きなだけ食べろ」

どうやらこれも配達させたものらしい。
というか、なんで昼はピザで夜はハンバーガーなんだ?
今までギアスで奴隷とした料理人がちゃんと作っていたのに。
眉を寄せたスザクに気がついたC.C.は究極の選択を口にした。

「セシルの料理か、これかの二択だ」
「いただきます」

その二択なら選択の余地は無い。
僕はマントを脱ぎ、ソファーの背に掛けると、袋の中からハンバーガーを取った。

「でも、何でその二択なんだ?料理人を解雇したのか?」
「いや、してないぞ?ただ、料理人の料理も皆食べないからな、少し趣向を変えてみたんだ。まあこれならどこでも手軽に食べれるからか、1つは食べたぞ?」

見るとゴミ箱の中に食べ終わった容器や紙袋が捨てられていた。

「つまり大量に買いすぎて余ってる訳か」

まだ誰も食べてないのかと思った。

「一セシルもロイドも朝と昼を食べてなかったから、流石に腹も減らしてるだろうと一人3個で買たんだ。ああ、お前には10個買ってるからな」
「なんだ、それしか買ってないのか」

ルルーシュ・ロイド・セシル・C.C.×3個=12個、スザク10個。24個と言ったところか?

「お前基準ならむしろ少ないだろう?」
「まあ・・・二人分だよね」

これだから食べざかりの軍人は・・・と思いながらも、既に4つ目に手を出しているC.C.は口にしなかった。

「で、みんなは中?」

そう言いながら、スザクは奥の扉を見た。

「ああ、全員中にいる。お前も食事が終わったら入れ」
「ふーん。で?なんで病気って事にしてるのさ?」
「中に入れば解る」
「もったいつけなくてもいいじゃないか」
「説明が面倒だからな。それはルルーシュから聞け」

それもそうか。
スザクはハンバーガーに次々と齧りつき、きっちり10個平らげると、寝室へ向かった。
パタリと音がして扉が閉じる。
それを横目で見ながら、C.C.は嘆息した。

「ちゃんと枢木には食わせたからな。これ以上面倒は見ないからなルルーシュ」

4個目のハンバーガーを炭酸飲料で流し込み、袋をゴミ箱に捨てた。やけ食いとはいえこれ以上は入らないなと、残った3つのハンバーガーが入った袋を手に、C.C.は奥の部屋へ向かった。



寝室に足を踏み入れると、そこには所狭しとよくわからない機械が置かれていた。
いくつものモニターと、見知らぬ機械。
一体何なんだと眉を寄せた後ベッドを確認したが、ベッドメイキングがされ綺麗に整えられたままの状態で、使用した痕跡は全くなかった。
やはり、病気ではなかったのだ。
苛立ちとも安堵ともつかぬ息をこぼし、スザクは室内を見回したが、ルルーシュの姿はどこにもなかった。いるのは疲れ果てた顔でこちらを見ているセシルと、テーブルに突っ伏す形で仮眠をとっているロイド。
ランスロットが戻ってきたというのに、ランスロット命のロイドがまだここにいるなんておかしなこともあるものだ。
大体この機材は何なんだ?
次の作戦のための下準備でもしているのか?
カーテンが締め切られ、外から一切見えないようにされたこの寝室はどうにも異様で、早く説明を聞こうとルルーシュの姿を探し、きょろきょろとあたりを見回した。
皇帝の寝室は広く、機材が沢山置かれて死角が多いとはいえ、ルルーシュの姿が視界に入らないのはおかしい。
なにより自分が来た事に気が付けば必ず声をかけてくるはずだ。
ならば、今席を外しているのか。
ルルーシュがどこにいるのかセシルに尋ねようと口を開きかけた時、セシルは自分の目の前にあるモニターに語りかけ始めた。

「陛下、スザク君が戻ってきました」

マイクを通した声が、画面の中からも聞こえてきた。

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