ナイトオブゼロの日記 第9話


流れた映像は、彼女の提示していた問いの全ての答えだった。

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「私は、この場に立ち会った紅月カレンからこう聞いています。ゼロは、ルルーシュは、彼女にこういったそうです。君は、生きろと。彼は自分が助からないことを悟り、カレンだけでも助かる道を選んだのです」

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「最悪だな、ゼロが悪逆皇帝だった。その事実は人々の記憶を揺さぶる。悪逆皇帝というカードで塗り固めた虚構が崩れ去り、真実が明るみに出る。その結果、白と黒が、善と悪が逆転する」

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「ギアスという力が存在するのか、証明する方法はありません。もしかしたら、ルルーシュとユーフェミアにされた記憶操作を、ギアスと呼ぶのかもしれない。私はルルーシュが無実でも構わなかったのです。ゼロという駒を盤上から消せば、ブリタニアの勝利は確定する。だからこそ、危険を犯してまで黒の騎士団との交渉を行いました。彼らは最初信じてくれませんでしたが、扇代表がルルーシュは信用できない、ギアスは存在し、自分たちを駒として操ろうとしているのだと、皆を説得してくれました。日本とルルーシュの交換も、扇代表から申し出てきた事です」

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「ゼロの仮面だけではなく、悪逆皇帝の仮面も剥がされたか。さて、現在のゼロの仮面はどする気だ?」

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「ルルーシュ皇帝は、偽悪的に振る舞うことでカレンを守りました。そして、ブリタニアを外から破壊するために育てた黒の騎士団を失った彼は、シャルル皇帝の暗殺を、たった一人で成功させました。そして皇帝となり、国の破壊を内側から行ったのです」

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「夫を信じなかった私には、妻を名乗る資格はありません。あのお方は自分が悪、裏切り者である私達を善としました。・・・そう、私たちは罪人なのです。全ての罪を今一度この身に戻し、この命尽きるまで、あのお方が願った平和な世界を、弱者が強者に虐げられることのない世界を作ること。それが私たちに残された唯一の贖罪なのです」

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「ですが、世界征服を果たし、あれほどの悪行を行ったことは変わらないのではありませんか?ゼロが、あのような悪行を行うなど考えられません、彼は弱者の味方なのですから!」

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「これがどのような結果を生み出すかはわからないが、一つ言えることがある。ゼロレクイエムは、失敗だ」

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「悪逆皇帝の罪とは何でしょうか。多くの人は大量殺戮兵器フレイヤでトウキョウ租界とペンドラゴンを消失させたと言うでしょう。ですが、よく考えてください。彼がゼロだとするならば、常にフレイヤを向けられ、撃たれる側にいたのです。その兵器を所有していたのはブリタニアですが、そのときの皇帝はルルーシュ陛下ではありませんでした」

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「・・・終わりだな。ナナリー達の大罪が、悪逆皇帝が背負った全ての罪が、本来の罪人のもとに戻る。なぜ平穏を壊すような真似を・・・」

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「では今の、二代目であるゼロは一体誰なのですか?もし、これらの話が事実なら、ゼロから引き継いだ人物がいる事になりますが」

既に答えは出ているだろうに。
だが、安易に口に出せる名前ではない。
・・・もう、十分だろう。
ごめんね、ルルーシュ。こんなに沢山の証拠があるんだもの、胸の内にしまっておくなんて、出来るわけないじゃない。
恨むなら、スザクくんを恨んでね?

「ゼロの剣を手に入れることが出来、ゼロの仮面を受け取ることの出来る人物で、消息不明となっても誰も怪しまれない。そんな都合のいい人材、1人しかいませんよ?」

そう、ここまで提示された情報の中に、たった一人だけ該当者がいた。

「そのための、偽装・・・では、では、何故ルルーシュ皇帝を殺したのですか!?もし、今のゼロがそうならば、世界解放の日は一体!?」
「偽悪的に振る舞い、カレンを救うような人ですよ。やっていた事は同じです。悪逆皇帝の死後、世界がどう変わったのか。それを考えれば、彼が何を望み、どうして自分を殺すための剣を作り、自分を殺すための場所を、シナリオを用意したのか、答えは出るのではありませんか?」

戦争で疲弊していた世界が、どう変わったのか。

「では、最後に一言、二代目ゼロに伝える事があります」

そう言うと、ミレイは今までの真剣な表情から一転し、明るい笑顔を浮かべた。

「今日、こんな緊急特番を組んだのには理由があるのよ。先日、C.C.さんが目撃されたんだけどね、その側に長身の男性がいたそうなの。変装してたから断定はできないし、あんな深い傷、普通なら助からないのは解っているわよ?でもね、私は忘れていたの。彼は、奇跡の体現、奇跡を起こす人なのよ。・・・連れ戻せるのは、貴方だけだと思うから、お願いね」

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彼女の最後の言葉。
それが、ミレイを、ナナリーを、カグヤを、天子を動かしたのだと気づいた瞬間には、ゼロは走り出していた。

END
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以前、「カグヤ相手に、世界を統べるには自分を壊す覚悟が必要だと言ったのは、これからルルーシュ自身を壊す何かがあると言っているようなものだから、これはカグヤに向けたルルーシュの無意識のSOS」みたいなことをどこかに書いた気がしたので、そのネタを使ってみました。
別の駄文でも、ミレイ告発ネタ書いてるんですが、私の書く話はN番煎じな上にワンパターンなので、またか!と思わず広い心で宜しくお願いします。

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