いのちのせんたく 第1話

青い海、白い砂浜、そして雲一つない青空。
まさに南の楽園と言えるその景色の中に、一つの人影があった。
それは、この景色にあまりにも不釣り合いな漆黒の衣装に身を包んだ男。
世界に名を轟かせているレジスタンスグループ、黒の騎士団の総司令、ゼロ。
仮面に隠されたその素顔は、仲間である黒の騎士団内でも殆ど知る者がいないと言われる謎の人物。
そんな彼が護衛もなく、海岸に立ち尽くしているというのは本来ありえない光景。
そして、当のゼロも、このあり得ない状態に驚き、立ち尽くしていた。


なんだ、これは。海に砂浜だと!?何の冗談だ!
俺は黒の騎士団の会議のため、蓬莱島に居たはず。まさかこれは夢か?俺はいつ眠ったんだ?
いや待て、会議が終わり次第エリア11に戻るため、この手には今も学生服が入ったスーツケースがある。
そうだ、俺の記憶は間違っては居ない。間違っているのは今いるこの場所だ!
俺はこの場所を再確認するため、辺りを見回した。
乗り物などで移動した記憶はない。会議室へ向かうための通路を歩いていたはずだ。
以前、式根島から神根島へ移動した時のような何かが、再び起きたのだろうか?
ここは間違いなく、蓬莱島ではない。海岸線に島の影も見えない。
目の前には海、足元には砂浜、後ろには原生林。
植物からここが何処かある程度判断できるかもしれないな。
俺はひとまず林へと足を向けた。
林へと足を踏み入れようとしたその時、砂浜の向こうに赤い光が現れ、次の瞬間小さな人影が現れた。
慌てて林の中に身を隠し、その影を伺う。
さきほどの赤い光。あれは間違いなくギアスとコードの紋章。
やはりあの時のようにコードの力が関係しての移動なのだろうか。だが、今回は一体どのような理由で?
スーツケースに入れてあった双眼鏡を取り出し、俺はその人影が誰なのかを確認することにした。
黒い点にしか見れなかったその姿がはっきりと見える。
幸い、相手は背中を向けていたようで、こちらには気がついていなかった。
先ほどの俺と同じように、きょろきょろと辺りを伺っている様子から、あの人影も俺と同じようにここに突然現れたということか。
徐々にピントを合わせていくと、その背中にある紋章とその色で俺はそれが誰なのかを悟った。

「・・・っ!よりにもよって、あいつか!」

ナイトオブラウンズの衣装にタンザナイトのような深い藍色のマント。
そしてあの癖のある茶色の髪。
ナイトオブラウンズ、ナイトオブセブン、枢木スザク。
俺は思わず舌打ちをした。
ゼロの衣装で見つかったら終わりだ。あいつの脚力と腕力に俺が勝てるはずがない。
俺は気付かれないよう、学生服に着替え始めた。
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2話