異世界冒険譚 第1話


※この話は「アプリゲーム:サーヴァントオブスローンズ」が舞台です。
※ルルCがガウェインで、スザクがランスロット、カレンが紅蓮弐式で異世界に飛ばされてしまうという、ギアスコラボシナリオをプレイしている前提で書いていますのでご了承ください。


これを、現実として受け入れていいものか、最初は悩んだ。
だって、おとぎ話の登場人物や、異形の生命が闊歩している世界なんて、普通に考えればありえない。夢か幻だと考えるのがおそらく普通だろう。しかも、彼らは自我を持ち、会話が成立し、共に闘う事が出来る。気がついたら、彼らが ”存在しないもの” だとか ”架空のもの” という認識が出来なくなっていた。
自分一人だったら、ああ、戦闘中に死んでしまったか、あるいは重傷で今頃ベッドの上で、ここは脳が作り出す夢の世界だと考えたかもしれない。
紅蓮の中に閉じ込められ、応答の無いサザーランドと共に進軍させられていた時は、悪夢の中にいるのではと何度も思ったものだ。それでも諦めきれず、声がかれるまで通信で呼び続けたことが、奇跡を呼んだ。
彼の、ゼロの声が聞こえたとき、私の不安であやふやな思考は一瞬で消え去り、地に足をつけた現実の世界に舞い戻って来た気がした。 その後スザクとも合流し、ゼロの偽物を倒し、まだ自分たちの世界には戻れないようだけど、やっとひと段落。といった時に事件が起きた。

「だーかーら!駄目だって言ってるでしょ!!」

私はいく度目になるか解らないセリフを口にした。 1日に何度言ったかもわからないぐらい口にしているのに、目の前の男は何度も何度も同じことを繰り返してくる。さすがの私でも、いいかげんうんざりする。C.C.も加勢してくれればいいのに、面白がってこちらを見ているだけだ。

「別にいいじゃないか。男同士なんだから」

むしろ何で駄目なのさ?と言わんばかりにスザクは眉を寄せている。
いやいや駄目でしょ。あいては仮面を被って素性を隠しているんだから、普通はそれを見るような行動は避けるべきじゃないの?仮面をとっていそうなタイミングで毎回毎回ゼロを探して、ゼロの所に行こうとするのホントやめてほしい。

「男同士だとか関係ない」
「そもそもだ、ゼロは男だと確定したのか?」

久々に、C.C.が加勢してくれた。
でも、どう考えても現状を面白がっている顔だ

「え?」

スザクは意味が分からないと、キョトンとした顔で言った。

「仮面をかぶって体型もマントでほぼ隠しているのだから、男と断定するのは問題じゃないのか?」

実際にC.C.は、あの仮面をかぶり衣装をまとい、コーネリアとブリタニア軍の前に出た事があるが、別人であるとばれなかった。つまり、みんなあの仮面と服装にばかり目を向けていてばかりで、男女の判別をちゃんとしているかと言えばNOなのだ。

「え・・・えーと、」

ゼロが男か女か。 あの声と骨格は男だと思っていたが、キョウトとの会談でC.C.がゼロの恰好をしていた時、偽物だと誰も気づかなかった。胸だってあるし体系だって女性そのもののC.C.でこれなのだから、細身の女性なら・・・? いやでも、以前ゼロが仮面を脱いで上半身をはだけた姿で倉庫にいたのを見た。 その時の彼の肉声は男の物だったし、胸も無かった。でも、声の低い胸の無い女性の可能性を完全には否定できない。ゼロは男?女?確定しているのは日本人ではない事だけど、それでは性別はわからない。
ゼロと言う人物のイメージがあやふやになる。
困惑しているこちらの事などお構いなしに、スザクは平然と言い放った。

「男だろ?」

即答である。

「何でそういいきれるのよ?」

親衛隊長である自分でさえ散々悩んでいるのに、直接会う機会が少なかったスザクが即答できるはずがない。思わず低い声で睨みながら言ったので、「怖いな」と軽く笑いながら言われてしまった。 女性に対して怖いとは何よ怖いとは。と、言いたくなったが自重する。

「え?だって声が男だし」
「変声機って知ってる?声変えるやつ」

すかさず突っ込みを入れると、スザクはびっくりしてこちらを見た。
その可能性は考えていなかった顔だ。

「え・・・でも、機械で変えてもあの声は男のものだし、前に抱かれたときも男だなって思ったし」
「抱かれ・・・え!?」

抱かれた?え?まって!?まさかそんなと思いながらも、脳内はもうその可能性でいっぱいになった。もしかして、素顔とか・・いや、それ以外のモノも見せ合うようなそんな関係なの!?だから、ゼロはスザクを黒の騎士団に引き込もうと?うそでしょ!?
今まで想像もしたことのない内容にカレンは混乱した。

2話