本当と嘘と 第1話

「スザク、これ」

ナイトオブラウンズ、ナイトオブシックス、アーニャ・アールストレイムはいつもの無表情のまま自分の携帯を差し出した。
そこは学園の生徒会室。
アーニャとジノが突然この学園に編入してきて今日で2日目になる。
今リヴァルとシャーリーがジノを連れて探索と称し学園内を案内し、ミレイはどこかの部に呼び出されたらしく、携帯片手にこの部屋を出て行った。
ルルーシュとロロは生徒会の仕事がないなら食材の買い出しに行くと言って出て行った。その為今ここに居るのはアーニャと僕の二人だけだ。

「何?何か面白い物でも写したのか?」
「写してない。でも、これ」

差し出されたままのアーニャの携帯画面を見て、僕は眉を寄せた。
そこには見知った名前の一覧と、その名前の横に、何やらイラストが載っていたのだ。

「なにこれ?」
「知らない。でも、これ見て」

指を差された場所を見ると、画面の一番上に、そのイラストの説明らしきものが描かれていた。


(*´v`*)(^▽^)(>v・)(・_・)( 一_一)(`へ´)(`△´#)
←                               →


「これは、アーニャが皆をどう思っているかを記録しているのか?」
「ちがう、私は何もしていない。多分、これは私への評価」
「つまり、アーニャの事を皆がどう思っているかが表示されていると?」

もしそうだとしたら、いろいろ問題があるんだが。


シャルル (*´v`*) ←特にこれ
ジノ  (>v・)
スザク (・_・)
ノネット (>v・)


勘違いでなければ、左に行くほど良く思われていて、右に行くほど悪く思われていると言う事。その一番左の、だらしなくデレッとした顔文字が有り得ない人の名前の横についているわけだが。
ロリコンか?いや、まさかな。
僕は・・・アーニャの事を、良くも悪くも思っていないと言う事か。まあ、当然だな。
思わず眉を寄せながら、じっとその画面を見つめていた僕を、アーニャが不思議そうに見つめている事に気が付き、僕は慌てて携帯から視線を外した。

「スザクの携帯には無いの?これ」
「え?」

僕は自分の携帯を取り出し開くと、そこには見慣れないブリタニア国旗のアイコンが1つ追加されていて「それ」と、アーニャが言うので、僕はそのアイコンをクリックした。
すると、ラウンズ と プライベート という枠が出てきて、アーニャが指差すままラウンズをクリックする。

「出た」
「・・・出てきたね」

シャルル (`△´#)
ロイド (・_・)
セシル (^▽^)
ジノ (^▽^)
アーニャ (>v・)


あ、怒ってる。僕そんなに皇帝に嫌われてるんだ。 ロイドさんとセシルさんがいると言う事は、ラウンズは仕事関係なのかな?
でも、いつの間にこんな機能が付いたのだろう?僕は最近携帯をいつ手元から放したかを思い出した。

「そう言えば、この前軍の方で新たなプロテクトを入れるとかで、携帯を預けたよね」
「5分ほど。その後からついてた」

たしか3日ぐらい前か?電話を掛ける以外使わないから、全然気づいてなかった。

「ジノは知ってるの?これ」
「ついてたのは3日前、だけど反応したのは今」

と言う事は、まだ知らないのか。
知ったらきっと面白がっていろいろ調べそうだな。
ノネットさんや他のラウンズの評価も確認していくと、あるはずの名前が見当たらない事に気がついた。
ナナリーの名前がない。ラウンズ(仕事?)枠に入らないのかな?
僕は画面を仕事からプライベートに切り替え、硬直した。


ルルーシュ (*´v`*)
ナナリー (*´v`*)
ミレイ (^▽^)
リヴァル (^▽^)
シャーリー (^▽^)
ニーナ (`△´#)
ロロ (`△´#)
サヨコ (`へ´)


何だこれ?
ニーナとロロは仕方がないとして、一番の問題は。

ルルーシュ (*´v`*) ←これ

なんで!?どういう事だ!?
君、ゼロなんだよね?記憶、取り戻してると思うんだけど?
思い出してたら、(`△´#)か、良くても(`へ´)だと思うんだけど何で(*´v`*)なの?
僕、友人である君を捕まえて、皇帝に売り渡して、ラウンズの地位を手に入れたんだけど?え?本当に思い出してないの?じゃなきゃ有り得ないよねこれ!?

「いいな。ルルーシュと仲良し」
「え?ああ、幼馴染だしね」

思わず、声が裏返ってしまい、アーニャに不審そうな眼で見られてしまった。
仕方ないよこれは。え?僕、本当に記憶の無い君相手に色々やってたって事!?
壊れてないこれ?っていうか、どうやって測定してるの相手の感情なんて。


ちなみにアーニャのプライベートに居たルルーシュは

ルルーシュ ( 一_一)

若干嫌われているらしい。
アーニャは不満そうに眉を寄せていたが、僕とは違うその表示が妙に嬉しかった。
暫くお互いの携帯の中身を確認していると、バタバタと走る足音が近づいてきた。
足音は生徒会室の前でぴたりと止まり、扉が開く。
そこには、いつもはにこやかに笑うお調子者、ナイトオブスリー、ジノ・ヴァインベルグが真剣な表情で立っていた。
「スザク、アーニャ、陛下から緊急通信が入るらしい、一回政庁にもどろう」

その言葉に、僕達も表情を改め、頷いた。
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2話