いのちのせんたく 第127話


C.C.達が持ってきた椰子をくり抜く。椰子の実ジュースは女性達の飲み物になり、実の部分は後で食材に。今使うのは空になった椰子だ。くり抜いた穴にロープを括り付けた竹を入れる。竹が内側に引っ掛かり、中から出ない事を確認したら蓋をし、水が入らないよう細工をしする。それを数個作ると藤堂と朝比奈が先程の岩礁にくくりつけた。椰子がぷかぷかと海面を漂っているあの辺りに謎の物体があるという目印だ。
何かしらの遺跡らしいが、藤堂とスザクはそろいもそろって絵心が無く、説明も分かりづらかったため、それがどんなものかは解らなかった。「すごく大きかったんだ、このぐらい・・・いや、この倍はあったよ」両手を広げながらいうスザクと、「ゴツゴツしていて、なんというかこう、ごちゃごちゃとした装飾がされていたな」という藤堂。師弟は互いの発言に同意を示すが、それだけで何をどう判断すればいいのか。
ルルーシュやクロヴィスが見れば全容が明らかになるのだろうが、残念ながら藤堂・スザクのような人間離れした潜水能力は持っていない。話を聞いて自分もと潜った朝比奈が断念するほど深く海流の激しい場所だという。
この島の情報か、あるいは脱出方法に繋がるものなのか。
それを知るためにも、海の底を調べる手段を講じる必要がある。

「他にもありそうだな」

ルルーシュのつぶやきに、そうだなとC.C.が答えた。

「だが海底とはな。いくら探しても見つからないはすだ」
「何か知っているのか?」
「いや、何があるか見当もつかないが、この島は自然のものではなく、今の人間が作れるものとも思えない。となれば、この島を示す何かがあると考えるのが普通だろう?お前が見たという赤い光も併せて考えれば・・・」

ギアスに関わる移籍の可能性が高い。

「ここから脱出するために必要なものという事か?」
「さあな。必要なものかもしれないし、この場所を作り維持するためのものかもしれない。まったく関係の無い漂流物かもしれない」
「だが、可能性はゼロではない」
「そう言う事だ」
「形状が解ればヒントになるのか?」
「まあ無理だろうな。だから私が直接確認する必要がある」
「潜るつもりか?そんなに泳ぎが得意だったとはな」
「泳ぐ必要など無いだろう?石をくくりつければ沈む。その物体とやらを確認したら石を捨てて浮かび上がればいいだけだ」

溺死したとしても蘇生する。だから時間はかかるが調べる事は可能だ。問題は、その場所まで素潜りできる二人に気づかれずに行動する方法。

「その方法は論外だ。どうするかは俺が考える。それに、お前だけではなく俺もそれを見た方がいいだろう」
「朝比奈でさえ断念した場所にお前がか?」

無理だろうと魔女は嘲笑う。

「駄目だよ。無茶したら」
「そうよ。あんた達がそんな場所まで潜れるわけ無いんだから、絶対に駄目よ!」

突然聞こえた声に、ルルーシュとC.C.は表情を帰ること無く声の方を見た。そこには今までの会話を大人しく聞いていた二人で、そんな無茶は許さないという顔でこちらを睨んでいる。
ああそうだった、この二人も傍にいたんだった。まあ、今の会話では何も解らないだろう。強いて言うならC.C.が遺跡というものについて知識があるということぐらいか。

「まったく、あんた達はすぐ無茶しようとするんだから!どんなものか知りたいなら私が潜ってくるわよ」
「必要無い。僕が潜る」
「あんたじゃ役に立たなかったたら言ってるのよ」
「そんなことないよ。ねえルルーシュ」

僕だって役に立つよね!?と言ってくるのだが、藤堂とスザクがちゃんと伝えてくれれば(せめて文字が彫ってあったとか、形がどうだったとか)もう少し考えようもあったが、大きかった、石だと思う、何かこんな形だった。という説明ではどうにもならない。

「もし遺跡だった場合、文字が書かれている可能性もある。スザクにそれを全部まる写ししろと言っても無理だろう?残念ながらここにはカメラはないから写真も撮れないし」
「・・・それは・・・確かに無理だけど・・・でも、カレンはそれ出来るの?」
「え?えーと、まる写しは・・・厳しいわね」

しかも深い深い海の底。水着がないから男女で泳ぐわけにもいかず、この場合カレン一人で挑むことになる。・・・無理だ。

「だから、方法は俺が考える。お前たちは勝手な事はするな」
「わかったよ」
「解ったわ」

二人は頷き答えたが、もう一人は素知らぬ顔で口を閉ざしていた。

「C.C.、わかったな」
「何故私が従わなければならない」
「この拠点のトップは俺だ。勝手な行動をとるようなら・・・食事抜きだ」
「・・・わかった、勝手な事は止めておこう。間違えて私だけ戻ったら大変だからな」

遺跡と反応し、自分だけ元の場所に戻る事があれば万事休すだ。
別に食事が惜しいわけではない。
断じて違う。

「今日はここまでだな。藤堂と朝比奈が戻り次第拠点に戻り体を休めよう」

今度は三人そろっていい返事をした。

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