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千葉とカレンが竹を切り出し、ラクシャータはセシルと共に食材を探しつつ薪拾い。 C.C.はいつものごとくぶらりと散策。 騎士団の面々がやっていることは普段とあまり変わらないのだが、ヴィレッタはどこか落ち着かなかった。 C.C.と話したのはあの時だけ。 それ以外一切何も言ってこない。 一体何のためにあんな話をしてきたのだ? 何か目的があるからこそ、あの話題を出したはずだ。 「どうしたヴィレッタ。何か悩み事か?」 話しかけられた声に、ヴィレッタはハッとなりそちらへ顔を向けた。 そこには温泉に入り寛いでいるコーネリア。 温泉が出来てからは、コーネリアは毎朝我が物顔でここを占拠している。といっても起きてくるのが遅いため、カレンたちは入浴済みだ。 美しく豊満なその肉体は、皇族でありながら軍に席を置くだけあって引き締まっており、既に10分以上温泉に浸かっているため白磁の肌はほんのり赤く染まり、滴り落ちる汗がその色香をより強くしていた。女性から見ても魅力的で美しいその肉体を惜しげも晒したコーネリアは、いつもの厳しい表情ではなく、自分の臣下に向ける柔らかい笑みを向けていた。 思わず見惚れてしまうその笑みで、一瞬思考を停止させてしまったが、コーネリアに質問をされたことを思い出し、慌てて返事を返した。 「いえ、大したことではありません。黒の騎士団の連中がやけに張り切っているなと思っていただけです」 嘘はついていない。ラクシャータ、カレン、C.C.の3人が1日姿を消し戻ってきてから、やけに動きがキビキビとしていて、何かしら目的を持って動いているようにも思えるのだ。 なにせあの日の翌日にはこうして温泉まで発見し、魚を捕らえる罠まで創りだしたのだ。1日ここを離れたことで何かしら心境の変化があったのか、それとも別の要因があるのか。 いつもなら騎士団の面々にその辺りを明確にさせるため説明をさせるところだが、あのC.C.の不気味な言動がヴィレッタの動きを封じていた。 ---ヴィレッタの口うるさい嫌味が無ければ作業が捗るのに。 そう呟いたのはラクシャータだった。 ---そうだな、それは一理ある。 そう答えたのはC.C.。 その後ふらりと姿を消したC.C.が戻ってきてからヴィレッタはこちらに一切近づいてこなくなり、いつもの嫌味も言ってこなかった。 「一体何をしたのかしらねぇ」 「え?どうかしたのラクシャータ?」 傍にいたセシルは、何の話?というように首を傾げた。 「ううん、なんでもないわ。セシル、それも集めちゃいましょうか」 「これ?食べれるのかしら?」 先端が若葉色の細長いものが沢山辺りに生えていた。 細く長い枝のようなそれは、茎の部分に触れると固く、とても食用になるとは思えなかった。 「それは、笹の子って言うらしいわ。C.C.が言うには、少し顔を出したぐらいの新芽を採集するんですって。美味しいらしいわよ?」 「これが・・・」 「タケノコって呼ばれ方もするらしいわね」 本当の竹の子とは太さが違うが、言われてみれば節くれだったこの茎と、葉の部分は細長い竹と竹の子に酷似していた。その若い芽を選んで二人は採集を続けた。 「とうっ!」 カレンが気合とともにナイフを振るうと、竹は音を立てて倒れた。 魚を捌いたりということは苦手なカレンだが、こういう作業は得意で、ただのサバイバルナイフの一閃で太い竹も簡単に切り倒してしまう姿を、千葉は呆然とした表情で見つめていた。カレンは当然のように「はっ!やっ!とう!」と、切り倒していくが、普通はそんなふうに切り倒すことは出来ない。 これが若さなのだろうか。 いや、そんなに年齢差はないし、あの歳の頃の自分にもやはりこれは無理だ。 まるで豆腐でも切断するように、カレンは倒れた竹もサクサクと切り分けていく。 水を得た魚のように、どこか楽しそうだ。 千葉は深く考えるのはやめようと、持ちやすいサイズに切られたそれらをまとめはじめた。 やっぱりスザクとそれなりにやりあえるキャラとしてカレンがいるなら、スザク並に竹ぐらい切り出せなきゃ駄目だよね。 きっと藤堂も簡単に切り倒します。 |