仮面の名 第11話


睡眠薬の中和剤を打たれ、ゼロと玉城は数分後目を覚ました。
直接体に打ち込まれた玉城:ゼロは平然としているが、ゼロ:玉城は何処かふらふらしている。薬の影響ねと、ラクシャータは口にした。

「ふらふらしてるところ悪いけど、玉城あんた、ゼロと入れ替わった時に夢を見たんですって?その内容話してもらえるかしら?」

回復するまで待っているつもりの無いラクシャータは、今だ具合が悪そうな玉城の傍に立ちそう尋ねると、あー、たいしたもんじゃねーぞ?と、玉城は苦しげに呟いた。

「いい加減俺に最適な役職をくれってゼロに話していた時なんだけどさ、急に右目が熱くなったと思ったら、なんかこう、自分の体からふら~っと、そう、まるでほら、幽体離脱っていうのか?あんな感じになって、その後びゅっ!って感じでゼロのほうに吸い込まれていったんだ」
「・・・何それ」
「だから夢だって言っただろ?」

何の役にも立たなそうねと、ラクシャータが玉城:ゼロを振り返ると、そこには何やら難しそうな顔をし、こめかみに血管が浮いているように見える玉城:ゼロが居て、思わず目を瞬かせた。

「・・・玉城、一つ聞いていいか?」
「あん?何だ?」
「その時、お前何か考えてなかったか?役職以外の事で」

そんなことを聞いて一体何になるのだと思いながらも、ラクシャータ達はゼロ:玉城の反応を伺った。ふと視界に入ったC.C.の顔がこわばっているようにも見えた。

「考えていた事?あー、ああ、そうだ。一番俺にふさわしい役職は何か考えててよ、それでゼロを見てたら、仮面とかかぶれば俺もゼロになれんじゃねーかって思ったんだよな。ゼロには悪いが、俺がゼロならすげーことできるし、もっと団員も集まると思うんだよ!だから、あーゼロと変わりてーなあって思ったな」

その言葉に玉城:ゼロは机を乱暴に叩き立ちあがった。

「それだっ!おいC.C.!お前何をやったんだ!!心当たりは無いと言ったよな!」

ゼロと入れ替わりたいと願い、それが実現した。それはまるでギアス。

「お前、何でも私のせいにするな!本当に心当たりは無いぞ!まさかV.V.が玉城に!?」
「待て、V.V.って誰だ!まさかお前の同類か!?」
「っ!しまった、口が滑った!」
「ほう、お前まだ俺に何か隠しているな?いい機会だ、洗いざらい吐け!そして今玉城が持ってる力の説明をしろ!」

玉城:ゼロに怒鳴られ、いそいそとゼロ:玉城の仮面の額部分に触れた。

「私に怒鳴るな。身に覚えがないと・・・あ、これは・・・いつの間に」

だんだん声がしりすぼみとなり、最後は呟くように言ったその内容に、ゼロはその掌を額に当てると、勘弁してくれと言いたげに天井を仰ぎ見た。

「お前のその反応、どう考えても犯人はお前のように見えるんだが?さあ、説明してもらおうか、俺が納得できるような説明をな!」
「まてゼロ、お前一人称が俺になってるぞ。それにゼロは、そう怒鳴らないんじゃないのか!?どう考えても今、素のお前だろ、いいのかそれは!?」
「知った事か!!」
「開き直るな!!」

普段は冷静沈着としか言えない、感情もあるのか解らないような仮面の男ゼロが、その顔に怒りを乗せ、怒鳴りつけ、言葉もガサツになっているので、周りにいる者たちは、ああ、ゼロも人間なんだなと、ある意味現実逃避をしていた。

「あー、ゼロ。何の話か私には解りませんが、その、ここでそれ以上やるとゼロのイメージが更に壊れるんじゃ・・・」

ゼロ=ルルーシュと知る者ならともかく、他の者たちの手前これはまずいのではないかと、カレンが怒鳴り合う二人にそう言うと、玉城:ゼロに煩いと睨みつけられた。

「ってか、落ち着きなさいよ!普段以上に口が悪くなってるわよあんた!」
「カレン、お前もその口調は不味くないか?仮にもこいつは今ゼロだろう?」

どうでもいい方向に二人が話題を変えたことに呆れ、幾分冷静になった玉城:ゼロは自分を落ち着かせるため深く息を吐いた。

「・・・ああ、そうだな。みっともない姿を見せてしまった。すまない。申し訳ないが、一先ず全員この部屋から出てもらえないだろうか?ああ、C.C.、お前は残れよ?」

一瞬で冷静さを取り戻し、落ち着いた声音でそう語る玉城:ゼロのその変化の速さに皆驚いたが、その言葉に反対の声が上がった。

「うちの連中を出すのは構わないけど、私は残るわよ?原因が解ったなら知りたいし、どうしたら直せるのか、そして再発防止も考えなきゃならないじゃない」
「いや、これは」
「いいじゃないか。ゼロの素顔を知る3人は残っていいぞ。後はコレの仮面を外すかもしれないから、ここから出ろ」

こんな男と二人きりになどなったら、何を言われるか解らない。出来るだけ被害を最小限に留めるため、部外者を残す方向で勝手にC.C.は話しだした。

「C.C.!」

玉城:ゼロがそうC.C.に怒鳴りつけるのだが。

「というわけよ。悪いけど皆いったん研究室に戻ってくれる?話せる内容だったら報告するわ」

ラクシャータのその言葉で、科学者たちは部屋を後にした。

「では悪いが」
「了解です藤堂さん」

藤堂が頷きながらそう言うと、四聖剣もまた部屋を出た。

「扇さんすみません」
「だが、カレン。俺は副司令だ。素顔を見てもいいんじゃないか?カレンたちも見たんだろう?」
「私たちは、元々ゼロの表の顔と名前を全て知っていたんです。だからこうして世話係に選ばれました」
「表の顔を?カレンが?いや、藤堂とラクシャータも?」

表では唯の学生のカレン。インドの天才科学者ラクシャータ。旧日本軍中佐藤堂。共通点は全く見えず、扇は全員の顔を見回した。

「すまないが、扇、私を知らないものに、私は正体を明かす事は出来ない。出てもらえないだろうか」

いつもの冷静な口調でゼロにそう促されると、渋々ではあるが扇もまた部屋から出た。
部屋に残ったのは藤堂・ラクシャータ・カレン・C.C.・玉城(ゼロ)・ゼロ(玉城)。
ゼロ:玉城にギアスが発現しているため、念のため藤堂に気絶させた。ここで玉城が面白がって、万一にも別の誰かに移動したら収拾がつかなくなるからだ。
ソファーに横になり後ろ手に腕を縛られ、仮面をかぶり私服の上にマントをはおっている、何とも間抜けな自分の姿を見て、玉城:ゼロはため息をついた。

「それで、戻れると思うかC.C.」
「1度きり、あるいは同じ相手に1回だけという制限が無ければ、可能だろう。お前は確認したか?今自分の力がどうなっているか」
「当然だな。俺の力は今も俺が持っている」
「ならば、玉城の力は今も玉城の中にあるはずだ」
「これは精神の移動と考えていい物なのか?」
「何とも言えないな。マリアンヌの劣化版なのは間違いないんだが・・・」
「・・・ほう、つまりお前は、母さんにも?」
「・・・っ!だが、シャルルとビスマルクは私じゃないぞ!」

かなりこの状況に動揺していたのだろう。いつに無くC.C.は口が軽く、ぽろぽろと本来口にしてはいけない事を話していた。

「・・・そうか、皇帝とナイトオブワンも持ってるわけか。それはV.V.がやったのか?まあいい。その話はあとで全て聞くが、今はこの現状を修正することが先決だ」

玉城の体だと言うのに、にっこりと、それはそれは凶悪で残忍で、背筋が凍えるほどの恐怖を感じる笑みをその顔に浮かべた。

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