仮面の名 第12話


「簡単に説明すると、俺と玉城は今、超能力が使える。なぜかと言えば、C.C.は人の潜在意識にある不可思議な力を引き出す事が出来るからだ。C.C.が引き出せる力は一つだけ。玉城はおそらく他人と体を入れ替えると言う能力を手に入れている。もし、玉城の力に使用回数などの制限が無い場合、再び俺と玉城が向き合い、玉城が元の体に戻りたいと願えば戻れるだろう」

超能力。
ギアスという名前よりも、より身近な名称に変えて説明した。
それでなくても訳の解らない状態だった所に今度は超能力。カレン、ラクシャータ、藤堂の三人は眉根を寄せ、本気で言っているのかという目を向けてきた。
三人はじっとゼロを見つめたが、ゼロはあくまでも真剣な表情だった。
このゼロが、冗談を?
いやいや、それは有り得ない。
玉城が黒の騎士団のトップになるぐらい有り得ない。
ならば本当にあるのだ、超能力は。
三人はそう結論づけた。

「じゃあ、私もC.C.が力を引き出せば、超能力者になれるの?」

カレンは興味ありげな視線でC.C.を見たが、C.C.はその首を横に振った。

「必ずとはいえない。適性があるからな。解りやすく言えば、血筋だ。玉城が純血の日本人であるなら、おそらくその祖先に枢木の人間がいたのだろう」
「枢木の?という事はスザクも俺のように使えると言う事か?」
「いや、枢木スザクは違う。あれは分家筋だ。枢木の本家の血は数百年前に絶えた。枢木スザクはその本家の血を守るために存在した守護者の血筋。あの異常な身体能力はその血故の物だ。確かに力は引き出せる可能性はあるが、絶対ではない」
「という事は皇帝の血筋もそうだと?だが母さんは庶民の出だ」
「そうだな。マリアンヌには適性は無かった。だがその身を銃弾で撃たれ、死に直面したその時に力が目覚めた。もうここまで話したのだから教えるが、マリアンヌの力は人の心を渡るという物だった。死の直前に目覚めたその力で、近くにいた人物の心の中に逃げ込み、体は死を迎えはしたが、心は今も生きている」

語られたその言葉に、そこにいた全員は息をのんだが、この内容を予想していたのだろう、ルルーシュはため息をついた。

「・・・成程、だから玉城の能力は劣化版といったのか。母さんは自分の体が死んでも生きられるが、玉城は自分の体が死ねば、その心も死んでしまう。その上、相手を必ずその体から追い出し、入れ替わる事になる。母さんがもし生きていたら、自分だけが移動するから、相手に悟られる事無くその体を操れたわけだ」
「マリアンヌの場合、おそらく自分の肉体は眠った状態になるだけだろうな。だから他人の体で危険な事を行い、そこで死んでも心は元の体に戻る。特攻や自爆でさえ、自分の命を危険にさらすことなく行えるわけだ。だが、玉城の場合、どちらかが死ねばどちらも死ぬだろう。リスクは間違いなくマリアンヌより高い」
「それで、近くにいた人物とは誰だ?」
「あの時、アリエスに行儀見習いで来ていた娘だ」
「・・・成程、だからナイトオブシックス、母さんのかつての地位を与えたのか。・・・まあいい、まずは玉城と体を入れ替えられるか確かめよう」

玉城:ゼロの視線の先には、意識が戻りのろのろと体を起こすゼロ:玉城。

「だが、あの体を絞めて落としているのに、お前は平気なんだな」
「苦しさは感じるが、それだけだな。玉城の場合、絞められた時パニックも起こしている。その上呼吸も苦しくなるから、あっさりと意識を手放しているんだ。長時間締めれば、酸素が足りなくなり俺も倒れるはずだ。手刀で意識を無くした時も、精神的なショックが大きかっただろう」

玉城:ゼロは今だ呆けているゼロ:玉城の傍へ行くと、その視線を合わせるようにしゃがんだ。

「玉城、よく聞け。自分の体に、この体に戻りたいと強く願うんだ」
「へ?え?」
「お前もこんな風に監禁されるのはもう嫌だろう?だから心の底から自分に戻りたいと願え。俺の、この自分の目を見て、願うんだ」

その数瞬後、玉城の体がぐらりと揺れ、どさりと音を立て床に倒れた。ゼロの体もまた力を無くし、再びソファーの上に倒れる。

「・・・成功か?まあいい、ラクシャータ。玉城の体に例の睡眠薬を打て。今のままではまた誰かと体を入れ替えてしまうからな」
「・・・わかったわ。でも、本当にこれで戻ったの?たったこれだけで?簡単すぎないかしら?」
「二人は、体が入れ替わった際意識を無くしたと言っていただろう。ならばこれで戻っているはずだ。私が引き出す力は、制限が多い物もあるが、それさえクリアできれば、簡単にその効果を発揮する」

その、細く白い腕を縛り上げていたひもを解きながら、C.C.はそう言った。

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