学ビノ園 第7話


「兄上が私の言う事を聞かずに、あんな目立った行動をするからこんな事になったんですよ!」

クロヴィスは眉根を寄せ、目の前にいる異母兄、シュナイゼルに怒鳴りつけた。普段であればこの兄に怒鳴るなどあり得ない事なのだが、今回は別だ。

「だが、結果的にはルルーシュとナナリーの周りに現れた危険な者達を一掃できたかのだから、いい策だったと思うのだがね」

珍しく自分に食ってかかってくるクロヴィスの怒鳴り声など軽く受け流し、シュナイゼルはロイヤルスマイルを浮かべたまま紅茶を啜った。
皇族服を身に纏い、優雅がで大げさな身振りで成される兄弟喧嘩は、まるで舞台を見ているようだが、そんなモノを見ていたいなどとは一切思っていない人物が、地を這うような低く重い声で二人の会話を遮った。

「いい策かどうかは知りませんが・・・説明をしていただけませんか?」

その声に、二人の皇子はピタリと動きを止めた。
ダイニングテーブルを挟み、向かい側の席にに腰をおろし、視線だけで人が殺せそうなほどの眼差しを向けて来ているのは、7年前に死んだとされていた異母弟、ルルーシュ。その隣でルルーシュに縋るように座っているのは、同じく死んだとされていた異母妹ナナリー。今回の騒動では間違いなく被害者の二人である。
同じく被害者であるスザクは、運よく弾が懐中時計にあたり、大きな怪我には至らず、応急処置も既に終えていた。今だ気を失ってはいるが、命に別状が無い事を咲世子が確認していた。

「えーとだね、ルルーシュとナナリーが7年前このエリア11で死んだと連絡を受けたのだが、私はそれを信じていなかった。必ずお前たちは生きていると信じて、ずっと探していたんだ。ここの総督となったのも、お前たち二人を探すためだった」
「信じられません」

ルルーシュはきっぱりと切って捨てた。
そんな・・・と、あからさまにクロヴィスが肩を落とし項垂れたので、ナナリーはルルーシュの服の裾を引いた。

「お兄様、頭ごなしに否定しては、クロヴィスお兄様が可哀そうです。・・・クロヴィスお兄様、私の手に触れてくださいますか?」

ナナリーはすっと、その可愛らしい手を前に出すと、クロヴィスは満面の笑みでもちろんだとも!と、その手を両手で包みこむように取った。
ナナリーに触れるなんて!!と、ルルーシュは内心むかっとしたが、ナナリーには何か考えがあるようなので、口には出さなかった。口には出さないが、ナナリーには見えないのをいいことに、おもいっきり表情には出していた。
・・・相変わらず、ナナリーに甘いのだね。
弟が昔と変わらぬシスコンだと解り、兄二人はそれぞれ意味の違う息を吐いた。

「クロヴィスお兄様。私の手を取った状態でも、今と同じ事が言えますか?」

ナナリーの問いに、クロヴィスはどういう意味か一瞬首を傾げた後「もちろんだとも」と笑顔で頷いた。

「私はずっとお前たちを探していた。マリアンヌ様は残念だったが、お前たち二人は私が必ず守ろう」

力強く語られた言葉に、ナナリーは花が綻ぶような笑みを浮かべた。



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これ校正しながら「私の中のクロヴィス補正すごいな」と改めて思いました。
登場確率も高いし・・・すべて無人島生活が悪い。

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