学ビノ園 第18話


「は?」

ナナリーの発言に、スザクは間抜けな声をあげた。
確かにルルーシュはシスコンでナナリーはブラコンだ。
甘ったるい声音で愛を囁き合う姿など、本当に兄妹かそれ?危ない世界に入っていないか?と周りが引くレベルだが、二人の見た目が皇子様とお姫様と呼ばれるほどの美形だったため、その姿はまるで映画のワンシーンのような受け取り方、 つまり眼福だと周りは見ていた。だがはっきり言えば、これが普通の容姿の兄妹なら周りからキモイと言われて引かれていただろう。
ナナリーの話では、ブリタニア兄妹は全員そのレベルでのシスコンでブラコンなのだという。ただし、全員に対して愛情を注ぐ訳では無く、一人、多くて二人の溺愛対象が必ずいて、それ以外とはさほど仲は良くないとか。

「えーと、つまり君たちの重度の兄妹愛はブリタニア皇族なら標準装備のものってこと?・・・本気で言っているんだよね、やっぱり」

思わず引き攣った笑いを洩らしながら尋ねたが、ナナリーは当たり前のように肯定した。寧ろ世間一般の兄妹の愛情の薄さに最初は戸惑ったのだという。兄弟全員と仲が悪い人がいると聞いた時には、冗談だと思ったほどだ。

「・・・そういえば、そうだったな」

C.C.は何かを思い出したかにように眉を寄せた。

「実は、シャルルには双子の兄がいてな・・・今も兄さん兄さんと甘えている」
「まって、あの皇帝が兄さんって、あの顔で!?甘えて!?」

想像したくない!というようにスザクはC.C.の言葉を止めた。

「C.C.さん、お父様のご兄弟は全員・・・」

もうお亡くなりになっているはずですが、とナナリーは言ったが、C.C.は首を振った。

「いや、1人生きている。私の同類となり生き延びたというべきか。今も小さな子供の姿で、シャルルの傍にいる。・・・確かに、言われてみれば兄の方もシャルルが可愛くて仕方がないのか、時間があればシャルルに構っているな・・・」

可愛くて?あの皇帝を!?
その姿を想像し、スザクの顔色は悪くなった。
あのロール頭の皇帝を可愛・・・いや、これ以上の想像は危険だと頭を振る。

「そんなにお父様を・・・それではきっと、お父様が結婚をされ、皇妃を傍に置く事に嫉妬もされたでしょうね」

それは、ルルーシュが結婚し嫁を貰ったら自分は嫉妬するという宣言でもあった。

「僕がルルーシュをお嫁さんにもらったら、ナナリーに嫌われそうだね」

思わず渇いた笑いを零しながら、スザクは思わずポロリとこぼした。

「ふふ、スザクさん何を言っているんですか?お兄様は男性ですからお嫁にはいきませんし、私が傍にいる以上他の女性に目がいくなんて考えられません」

それまで纏っていた穏やかな空気を一変させ、ナナリーは言った。
表情は笑顔だが、その空気は冷え冷えとしていた。
ああ、これはナナリーに隠れて愛を育まないと駄目だと、スザクは小さく息を零したが、まあ、それはそれで楽しそうだと考えることにした。

「それで、その兄弟愛なのですが、お父様はご存じ無いと思うのですが・・・お兄様たち、お姉様たちの愛情の対象が、お兄様なんです」

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