|
・・・うん? 今何を聞かれたんだろう?と、スザクはしばらく考えこんだ。 あまりにも馬鹿っぽい顔をしていたからか、シュナイゼルはおや?と言いたげに困ったような顔をした。 「ルルーシュは元気にしているのか、と聞いたのだよ。どうかしたのかな?」 「・・・はあ、あの、ルルーシュ?」 首を傾げるスザクを訝しむように見つめながら、シュナイゼルは続けた。 「あの子は小さな頃体が弱かったからね、心配しているんだよ」 「はぁ・・・」 情に訴えるように、今まで聞いたこともないほど穏やかで優しい声で言ってみるが、それでもスザクの反応は変わらなかった。 「今日食事に誘ったのは、君にルルーシュの話を聞きたくてね」 「あの、シュナイゼルさん?」 「なんだい、スザク君」 「ルルーシュって、誰ですか?」 スザクの反応はあまりにも自然で、こちらを騙そうとしているようには見えなかった。先ほどの明らかに隠してますよ、という、嘘のつけない彼らしい反応も無い。これはどういうことだろう?とシュナイゼルは考えた後、聞き方を変えることにした。 「ルルーシュを知らないのかな?では、C.C.はどうだろう?彼女は元気にしているかな?」 「あ、えと、C.C.ですか」 今度は彼女の名前にどうすべきか困ったような反応を示した。本当にわかりやすい。これで、あの屋敷で会っていたのがC.C.だったことは確定したが、彼女と共にいた黒髪の青年の事を知らないとはどういうことだろう。 「彼女のことは知っているね?」 「あ、あの」 明らかに動揺し、目が泳いでいる。 本意ではないが、まずは彼女の話を聞き出し、そこからルルーシュの情報を引き出そうと口を開いた時、シュナイゼルに近づく男がいた。 「ここにいたのですか、兄上。探しましたよ」 カツカツと、。古典映画に出てくる貴族のような服を着た、場違いなほど気品に溢れた金髪の青年がこちらに向かって歩いてきていた。青年の視線はまっすぐにシュナイゼルへと向いており、言われてみればこの二人は雰囲気もだが顔立ちも似ており、たしかに兄弟だと納得した。 「やあクロヴィス、久し振りだね。そういえば大変な目にあったそうだね、心配していたが元気そうでよかった」 「お久しぶりです兄上。誰かがバカな情報を流したおかげで大変迷惑しましたよ」 「ほう、それは大問題だね。その人物のことはこちらに任せてもらえるかな?」 「・・・ええ、どうにかして下さい」 その人物は、貴方ですよね兄上?と、声には出さずに睨みつけた。 「こんな場所に来て大丈夫なのかな?君は有名人なのだが?」 「ロイドが上手くやってくれました。お陰でこうして兄上に直接会いに来れるようになりました。・・・大事な話があります、今すぐに」 「困ったね、私は食事中なのだが」 「諦めて下さい。・・・君がスザクかな?ロイドから話は聞いている。兄上が迷惑をかけたね。もういいからロイドの元へ戻りなさい」 「え、ですが」 「兄上の目的はどうせルルーシュの話でしょうが、スザクは何も知りませんよ。C.C.が連れていたのは、彼女が旅の途中で出会い気に入ったという黒髪の少年で、ルルーシュではありませんでした」 クロヴィスは周りに聞こえないよう小声でそういった。 「眷属にしたと?」 「いえ、騎士種に」 C.C.の眷属ではやけどの写真と辻褄が合わなくなるが、同族として迎え入れたのなら話は別だ。吸血鬼のロイヤル種、その中でも騎士種は別の種族からロイヤル種へと変化した者が大半を占める。C.C.は貴族種だが別の種族を吸血鬼に変える力を持っているため、時々気に入った若者を騎士種へと変えていた。 「どうしてそれを?」 「今、ロイドの所へ行ってきました。その少年は先の事件でC.C.をかばい、刻印入りの弾丸を腹部に受け、死亡したそうです。C.C.と共に保護し、治療を施したそうですが、当たりどころも悪く間に合わなかったと。彼女はそのことに強いショックを受け、今もロイドの所で保護されています」 相手が吸血鬼だと知った人間たちは、対吸血鬼用の弾丸を裏のルートで手に入れていた。それを少年は腹部に受け、重傷を負った。あの屋敷の地下へと続く階段、そして地下室にあった大量の血液の意味もそれで説明がつく。あの場所はロイドの管轄となり、今はもう綺麗な状態になっているが、あの出血量と対魔具、そして急所となれば死んでいてもおかしくはない。 辻褄は合う。 「では、ルルーシュはどこにいると?」 黒髪の青年が怪我をした話は一部の者しか知らない。だから、クロヴィスがロイドと話したのは間違いないだろう。そして、もしルルーシュが重症を負ったなら、クロヴィスがこんなに冷静でいられるとは思えないため、この話を信じ始めていた。 「C.C.の話では、ナナリーに会いたいからと言うので、10年ほど前に別れたとか」 ナナリーはルルーシュが溺愛していた妹だが、シュナイゼルは彼女と彼女を守る者達とは険悪で、どこにいるのか場所の把握も難しい。そこにいるとなれば情報など入らないし、手出しも難しくなる。困ったものだとシュナイゼルは息を吐いた。 まあいい、見つけ出すのに1ヶ月とかからないだろう。 「・・・そうか。スザク、時間を取らせてすまなかったね。私はクロヴィスとこれから話しをしなければならないらしい」 そう言ってシュナイゼルは席を立ったので、スザクも慌てて立ち、二人の後に続いてレストランを後にした。 ********** 隣人書いてた頃に書きたかったらしいシュナイゼルとのやり取りを一応書いたけど、どんなの書きたかったのか正直覚えてないのでこんな形に。 シュナイゼルの敗因は、ルルーシュはあくまでもルルーシュという名前を名乗って生活していると完全に思い込んでいて、偽名の可能性を一切考えていないこと。 ルルーシュが絡むと優秀な脳みそは役立たずになるようです。 そう言えば前作でナナリーの話出してたっけ?覚えてない・・・まあ違っててもいいか(投げやり) |