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「そんな話よりも、問題はクロヴィスが持ってきた話だろうに。まだ寝ないのなら、少し話を進めるべきじゃないのか?」 会議は明日の予定だったが、シュナイゼルの件で全員神経が高ぶっているらしく、誰も眠る気配がない。ならば、今のうちにやれる事はやるべきだろう。 「弟さんが持ってきた話って?」 「弟さん、という呼び方はやめろ。クロヴィスだ」 名前ぐらい覚えろとC.C.が注意した。 「でも、シュナイゼルさんの弟さんでしょ?間違いではないよね?」 「その流れで言うなら、弟さんは最低でも9人いるから後々困るぞ」 「え!?9人!?」 吸血鬼って繁殖力高いの?精力旺盛なの!?え?じゃあL.L.も!? 驚き過ぎて目が点になったスザクに、L.L.はため息混じりに言った。 「あの男が異常なんだ。なにせ妻が108人もいるからな」 「108人!?」 何それ!?煩悩の数だけ奥さんいるの!?どういうこと!? 「あの男は無節操に、見た目や地位が気に入った女性を妻に迎え入れたからな。それだけ妻がいるという事は当然子沢山だ。シュナイゼルは上から三番目、男兄弟で二番目だから、その下は山ほどいるぞ」 あの男は生きる恥だと、L.L.は苦虫を噛み潰したような顔をした。 「うわぁ、すごいね。でも僕が知る弟は1人だけだし問題はないよね?」 「残念ながら、お前が知るシュナイゼルの弟はもう1人いる」 心の底から嫌そうな顔で呻くようにL.L.は言った。 「え!?・・・まさか、ロイドさん!?」 「えぇ!?シュナイゼルと兄弟なんて、冗談じゃない」 ざーんねんでした!と、ロイドは両手を上げて行った。 では誰が? 「・・・俺だ」 ここまでヒントがあれば嫌でも解りそうなものだが、残念ながら相手はスザク。あの男と血縁関係だと認める言葉に胃が痛くなりながらも、L.L.は答えを口にした。 「え?」 「シュナイゼルのファミリーネームは俺と同じだ。シュナイゼル・エル・ブリタニア。それがあの男の名前だ。そして三番目の兄の名がクロヴィス・ラ・ブリタニア。俺は男兄弟では11番目になる」 だから、最低でも9人弟がいる。12番目以降がいる可能性は高く、妻の名前は表に出ても子の名前はなかなか出てこないから把握していないしするつもりもない。大体妻は108人だが、愛人がいる可能性もある。 「え?え?えええ!?君あの二人に似てないね!?」 あの二人はどこか似てたけど、L.L.はあまり似てない。髪の色も髪質も違うし、眼の色はL.L.の方が濃くて綺麗な紫色だ。しかも父親は108人の妻を持ち、兄妹の数も把握しきれない状態。あまりの内容にスザクはぽかんと口を開けた。 「つまり、108人もの女性に手を出した馬鹿は俺の父親だ」 「え、あ、そっか。ごめんね?」 なんか凄く驚いちゃって・・・。 「謝られてもな・・・だから、弟さんという呼び方をクロヴィスにするなら、俺もそう呼ばれることになる」 「それは嫌だから、じゃあクロヴィスさんって呼ぶことにするよ」 「そうしてくれ」 「君のことはルルーシュって呼んでも?」 このタイミングならOKをもらえるだろうとお願いしたのだが。 「いや、今はその名は使っていない。いろいろと問題があるんだ、ルルーシュという名前には」 「今は問題しかない名前だな」 困ったものだな、とC.C.は言った。ロイドとセシルも困ったような顔で頷いたため、その名前で呼ばない方がいい事は良く解った。間違ってシュナイゼルの耳に入っても困るから、今まで通り呼んだ方がいいだろう。ということは、C.C.も問題のある名前だからそう名乗っているのだろうか。考えても仕方がないと早々に思考は放棄し、名前を知ることが出来たのだから良かったと考えることにした。 ルルーシュ。 いい名前だ。 彼の為にある名前だと思えるほど、良く似合っている。 「そんな話よりクロヴィスだ。ジェレミアやキューエル達では無く、クロヴィス自身がわざわざ出向いてきたのだから、かなり信ぴょう性は高いと考えるべきだ。とはいえ、鵜呑みにもできない。早急に確認を取る必要があるな。ロイド、頼めるか?」 俺が動けばシュナイゼルにバレるからと言えば、もちろんですよとロイドは返した。 「まずはミレイに連絡を。万一の場合にはカレンとジェレミアを呼ぶことになる」 「オレンジもか?カレンだけで十分じゃないか?むしろ呼ぶなら咲世子だろうに」 C.C.の言葉に、L.L.は首を振った。 「いや、咲世子はナナリーの傍にいてもらわなければ」 彼女以上にナナリーに適任の護衛はいない。 「カレンくんを呼ぶってことは、ラクシャータも来るのかなぁ」 嫌だなぁと、ロイドは顔を歪めた。 「ロイドさん、喧嘩は駄目ですからね」 セシルが釘を刺すが、ロイドは肩をすくめただけで返事はしなかった。 それにしても、どこかで聞いたことのある名前が沢山出てきたような? 「ねえL.L.、カレンって人は赤い髪で赤い服を着た気の強そうな女性?」 「そうだな」 「オレンジって言われた人、忠義を第一として主人に尽くす感じの人?」 「ああ、そうだ」 「・・・何で僕その人たちのこと知ってるんだろう?」 初めて聞いたはずなのに、何故かよく知っている。他の人たちも、なんとなくイメージが浮かぶ。なんだろう?超能力にでも目覚めたんだろうか? 「・・・ゲームに出てきているからじゃないか?」 本気か?と言いたげにC.C.が言った。 「ゲーム?」 僕あまりゲームしないけどなあと、スザクは首を傾げた。 「枢木、お前は本当に鳥頭だな」 呆れたようにC.C.がいった。 「私とL.L.は二人でゲームを作り生活をしている。そのゲームの登場人物、その主人公のアランとセラはL.L.と私だ。鳳は今は亡きL.Lの親友とくれば、残りのキャラクターも関係者がモデルと考えるんじゃないのか?」 「あ!ゲーム!そうだ!」 この二人はゲームを作ってたんだ!と、思い出した。 そうだ、彼らが作ったゲームだけはプレイしていた。 ミレイは美鈴、カレンは花蓮、オレンジはオレン、咲世子は小夜か。 でもジェレミアとナナリーという名前には覚えが無い。誰だろう? 「見た目もほぼそのままだから、あれをイメージすれば、だいたいあってるし、見たらすぐ解るだろう」 「そっか、わかった」 ゲームしておいてよかった。誰の話か全く判らず蚊帳の外にされるところだったとスザクは胸をなでおろした。 |