オオカミの呼ぶ声2

第 22 話


なんかおかしい。
ルルーシュとカレンに喧嘩売ってるやつは許さないと思っていたんだが、なんだろう、ルルーシュを見ている視線がなんかおかしい。たまに男がカレンを見る目に似てる。何なのだろう?どうしてかわからず、ルルーシュが夕食を作っているスキに外に出て藤堂に聞いたが、藤堂は顔をしかめた後言葉を濁して話を終わらせた。
何で教えてくれないのだろうと、翌日は玉城の店に行った。
玉城にはわからないかもしれないが、気づいたことがあれば絶対に教えてくれると思ったからだ。
玉城の店は昼はカフェだけど、夜は酒も飲める。
だから玉城1人というわけではなく客も居た。
何か食べるか?と聞かれたが、ルルーシュが夕ご飯を作って待ってるからと断った。ほんとは手伝わなきゃいけないのに、理由をつけて抜け出してきているのだから早く帰りたい。
だから簡単に質問をすると、玉城はそんなことかといいたげな顔をした。

「へぇ、ルルーシュを見る目がおかしいって?そりゃあそうだろ。あんな美人、俺だって最初びっくりしたからな」

男にするのがもったいねーよな!と、大きな口を空けて笑った。

「やっぱり、変な目で見てる子がいるのかい?」

玉城の店の常連のじいさんがが聞いてきた。玉城の入れるコーヒーはそこそこ旨いらしく、暇な時期は年寄りのたまり場にもなっているのだ。と言っても今時間はコーヒーがビールに変わっているのだが。

「そりゃそうだろ。あれだけの美人、アイドルやモデルにだってそうそういないからな。同じ学校に居たらそりゃあ気になるよな」

わかるわかると玉城は頷いた。

「ルルーシュは美人だけど。だからってなんで変な目で見るんだ?カレンをそんな目で見るやつもいるし、なんなんだ?」

そう聞けば、皆が口ごもった。
藤堂のときと同じだ。
なんなんだ?みんな何を隠してるんだ?

「そうかそうか。もうルルーシュもカレンもそういう歳だよな。しかも二人共、とびきりの美人ときたもんだ。最近ナオトの機嫌が悪いのは、悪い虫がつくんじゃないか心配してだろうしなぁ」

あいつシスコンだし。
玉城はニヤニヤ笑いながら言った。
そして、ちょっと来いと手招きするので側に行く。

「玉城くん!」
「教えねーわけにもいかねえじゃん。スザクと違って、ルルーシュとカレンは大人になるんだからよ」
「ルルーシュとカレンが大人に?」
「そういうことはナオトくんにでも」

年寄りたちが玉城にやめるように言う。
知ってるんだ玉城は。

「教えてくれ、玉城!」
「おう、いいかスザク」

玉城は耳元に口を寄せ、ひそひそと話しだした。




「どーしたのよスザク。今日は元気ないじゃない」

宿題をするという名目で、夕方カレンが遊びに来ていた。
カレンもルルーシュも頭がいいから、さっさと終わってしまうが、俺はあのノートの先の勉強だから苦戦してしまう。ルルーシュが新しいノートを作ってくれていたが、あの頃と違い今はそれを読んでいる時間なんてない。ルルーシュがいるのに、ノートをただ見ているなんてもったいなくて。だから勉強に最近はついていけなかった。

「・・・この問題が難しいからだ」

問題文を見ただけですでにギブアップ。
解ける気がしない。

「それだけじゃないでしょ。だいたいこれ、そこまで難しくないわよ。ほらここ、ちゃんと問題読みなさい」

カレンが示す場所をよく見る。さっきから見てるけど、読んでもわからない。するとカレンの指はノートを何ページか分もどり、前に解いた問題をトントンと指差した。
2つの問題をじっと見比べてみると。

「・・・あれ?これわかるぞ?」

スルスルとペンを動かすと、カレンが嬉しそうに言った。

「ほらね、この前解けた問題でしょ?」

ちょっとだけ文章が変わっただけなのよとカレンは笑う。
そのとおりだ。書き方が変わってただけで問題の基本は変わってない。
なんでそれがわからなかったんだろう?

「出来た!」
「正解!よく出来ましたー」

カレンが大げさなほど褒めるが、嫌な気はしない。

「ほらね、ちゃんと集中して読めば出来るのよ。で?どーして上の空で問題見ていたのかしら?」

何かあったんでしょ?と、途中から声を小さくして、ルルーシュに聞こえないように聞いてきた。

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