オオカミの呼ぶ声2

第 24 話


「で?なんだったんだ?」

スザクがお風呂にいっている隙にと、ルルーシュが尋ねてきた。
何の話?としらばっくれるには相手が悪い。

「玉城がまた余計な事を言ったのよ。・・・あーでも、スザクが知りたくて聞いたんだから余計って言うのは間違いね。でも、言い方ってものがあると思う」

そう。言い方が悪い。
説明の仕方が悪い。
とはいえ、玉城に期待するのはもっと悪い。
だって、あの玉城だ。
周りが期待するようなことを言えるはずがない。

「何を言ったんだ?」
「そうねぇ。・・・ルルーシュ、昨日女の子に呼びだされてたけど・・・告白されたんでしょ?」
「・・・今関係ないだろう。話をそらすな」

この反応、図星か。
ルルーシュがモテるのは当たり前だ。これだけの美形で頭脳明晰となればモテないはずがない。そして、今の反応からもわかる事だが、全員ふっている。1にナナリー、2にスザク、3に私がいるこの序列に割り込むとなると、相当頑張らないと無理な話だ。
ルルーシュに好意を抱いているだけならまあいいが、大半はスザクとも親密になりたいという欲が見える。そんな人に告白されたところで気分も悪いだろう。そもそもルルーシュ自身恋愛に興味あるのかどうかは謎だけど。

「残念。関係大有りなのよ」
「・・・どういう事だ?」
「私もね、告白されるのよ」

中学の時にも告白はされていたが、高校に入ってからその頻度は爆上がりしている。まあそういう年齢なんだと言われればそうだが、呼び出されるのは正直めんどくさい。

「・・・話には聞いている」

ルルーシュと同じく、私と付き合えばスザクに近づけると考えている馬鹿が多すぎる。まあ、私ぐらい可愛くて文武両道となれば、惚れられても仕方ないんだけれど。
付きあう気持ちなんて全然ないから全員ふってるけれど。最近は「私と付き合いたいなら、ルルーシュとスザクを超えから告白したら?」といえば、みんなあっさり引き下がるから楽。
面倒なのは、私を二人から引き離そうとする女子が、男子をたきつけてる事だ。これはルルーシュに告白する女子にも言える。

「つまりね、私たちに色目を使う人が結構いるって事よね」

一人につき1回だけしか告白できないならすぐに終わるんだけど、そんなこともなく。しつこい奴はルルーシュとスザクは関係ないとか言って頻繁に告白してくる。ほんとめんどくさい。

「・・・なるほど、スザクはそれを気にしているのか。確かにカレンを見る男の目には不快感があるな」

・・・・うーん?私だけじゃなくあんたもよ?といいかけてやめた。
女子にモテるのが嬉しいのかもしれないし、自分に向けられている視線に気づいてないのかもしれないし。・・・後者の可能性が高いわね。

「と、いうよりも。何でそんな目で見るのかって事が気になったみたい」
「何で?」

どういう意味だと首を傾げている。
私たちは成長し、それらを自然と理解しても、スザクは成長しないから理解できない。私は間近で何度も経験してきたから、これもそうだとすぐ気付ける。こういう事は今後も出てくるから、ちゃんと説明することにした。

「私たちが10歳だった時に、そういう目を向けられて理解できた?ああ、この人は私の事が好きなんだなって気が付いても、恋愛感情向けてきてるって思えた?」

好きは好き。
私はルルーシュとスザクが好き。
カグヤや藤堂も好き。
友達も好き。
それは今も変わらないが、この好きは恋愛感情ではない。
早い子なら幼稚園ぐらいで初恋をしているけれど、それは今向けられているものとは全く別の、純粋な恋心だろう。あるいはアニメや漫画、ドラマなんかで見た恋愛に憧れたごっこ遊びの延長線。そういうものならスザクだって理解できる。
でも、今私達に向けられてる視線は欲にまみれたものばかり。あの視線の意味も、相手が何を求めているかも今の私は理解しているが、10歳の頃の私は理解できなかっただろう。スザクはその年齢で止まったままなのだ。長く生きていたから知識としては持っていても、欲に染まった人の目を恋愛感情と結びつけられなかった。

「・・・」
「あ、あんたは変質者に襲われてたわね」

そういえば、そんな事もあったなと思いだす。
ルルーシュも覚えていたようで、いやそうに顔を歪めた。

「変質者の変態思考は別として。あれをスザクがそういうものだって正確に理解できてたと思う?正直私は何となくわかっていても、今ほど理解はしてなかったわよ」
「・・・それで、玉城はなんて言ったんだ?」

こちらが言いたい事は理解してくれたらしい。
今回は最低限それが分かればよし。
問題は、玉城の説明だから。

「私やルルーシュと交尾したくて発情してるって教えたみたい」

あまりにも直接的な説明に、ルルーシュは完全にフリーズした。

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