王者は誰だ 第7話   

【第九関門 巨大迷路】

いつ作ったのよ、こんな迷路!!
案内の矢印に従って辿りついた場所には、巨大な迷路が用意されていた。
身体能力をフルに生かし、迷路を形作る壁の上に飛び乗り、壁の上を走れば楽勝じゃない。なんて考えていたら、少しでも壁よりも頭が高い位置に出た時点で失格となると、言われてしまった。ちゃんと迷路を進んでいるかは、コンピューター部がいたるところにカメラを設置し、確認をしているらしい。もちろん、その様子はミレイがノリノリで司会を務めている舞台上にもしっかりと映し出されていた。

『さーて、第九関門巨大迷路に我らが生徒会役員カレン・シュタットフェルトこと紅月カレンが到着、スタートした模様です。 現在迷路に辿りついたのはこれで3人目!この迷路をいかに早く抜け出せるかで勝敗が決まると言っても過言ではありません!』

そんなミレイの声も、聞こえてきた。
不正が出来ないとなると、正攻法で臨むしかない。迷路と言えば片手を壁について進むといいと、聞いたことがある。普段なら確実性を求めたいが、相手はあのスザク。ここにスザクが辿りついた時点で、野生の感をフルに発揮し、あっという間に駆け抜ける可能性は大。
そうなれば、私の負けだ。
次の関門が知力勝負で無い限り、あの獣にルルーシュを攫われてしまう。それだけは、許さない。ゼロ、貴方は私が守ります。絶対に。
私は深呼吸を一度すると、覚悟を決めて走り出した。

『う~ん、後続で残っているのも、ブリタニア軍関係者と黒の騎士団ばっかりなのよね。身体能力の高い人ばかりだから、こんな迷路あっという間に突破されそうだし、一般人が勝てる要素って必要よね? よ~し!ここは思い切ってルール追加だ!ブリタニア軍と黒の騎士団の関係者は、迷路で出会った場合、戦闘を許可します!ただし、武器の使用は不可!拳と拳の殴り合いのみ可!命に関わるような攻撃は勿論不可よ! あ、ただしこれは、出会った時相手も戦う意思を見せた時だけね。相手が逃げた場合は追うも良し、放置するもよし。逃げることへのペナルティは無し。参ったと相手が言うか、私達が勝敗を決めた段階で敗者は脱落! うんうん、いいわ!いいわよ~!あ、一般人には攻撃しちゃだめよ。これはあくまでもハンデだから。もちろん、ブリタニアVSブリタニア、騎士団VS騎士団もOKよ!さ~みんな優勝を目指して頑張ってください! 当然巨大迷路のルールである、壁より上に顔を出した時点で失格はそのままだから、戦うときは十分高さに注意してね』

あ~もう、何考えてるのよ会長!!あ、でもこれは利用できるかも!?物騒ではあるが、万が一スザクと鉢合わせした場合、スザクを落とせば憂いは消えるわけよね。あの告白タイムでのスザクの反応から考えると、全員をここで沈めようと考える可能性は高いもの。
となるとすぐにスザクはゴールに向かわない。・・・必ず一戦あるわね。
私は走るペースを落とし、体力を温存しながら出口を目指した。





「本気か?本気なのかこの女。くっ、普段っ振り回されているルルーシュを見るのは楽しかったが、巻き込まれるとここまで・・・!」

C.C.はようやく追い越したスザクの凶暴な獣じみた気配を背中に感じながら、必死に足を動かした。

「ふむ、つまり巨大迷路内なら、先ほど水を差されたスザク君との決着も付けられるわけか」
「そうですね、では枢木を待ち伏せますか?」
「いや、その必要は無いだろう。スザク君は必ず我々の前に現れる。それまでは出口を探す事に専念しよう。万が一スザク君に勝つことが出来なくても、カレン君が先行しているのだから、少しでも足止めするのが我らの役目だ」
「「承知!」」

藤堂、千葉、朝比奈はやってくるであろう狂犬との戦闘に、心を躍らせ口元に笑みを浮かべた。

「ほう、戦う事を許可するとはな。アッシュフォードの娘はなかなか面白い事を考える」
「では、黒の騎士団と出会った場合は」
「当然、戦うさ。いいな、ギルフォード、もし奴らと出会ったら、手加減はするな」
「イエス・ユアハイネス!」
「お前もだ、ダールトン。いかに遊戯中とはいえ、相手はテロリスト。情けをかける必要は無い」
「イエス・ユアハイネス。お任せ下さい姫様」

楽しそうに言うコーネリアに、武人二人は口元に笑みを乗せ答えた。
三人は、敵である黒の騎士団の面々を前に、抑え続けていた闘志がふつふつと湧き上がって来るのを感じていた。

「よく出来ましたスザク、さあ、だいぶ出遅れてしまいました。急ぎ巨大迷路へ向かいなさい!私の騎士に負けは許されません!」
「イエス・ユアハイネス!」

スザクはさっと臣下の礼を取り、ユフィとニーナをその場に残し走り出した。

「会長、感謝します。・・・カレン、これで戦う理由は出来た」

ようやくテストを終えた獣が、再び動き出す。
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