日本トルストイ協会会長
川端香男里
ごあいさつ(日本トルストイ協会会長・川端 香男里)
 
 1996年(平成8年)12月に発足いたしました日本トルストイ協会は、トルストイ研究を進め、トルストイ研究者相互の協力・情報交換を促進するための組織ですが、同時にトルストイに関心をもつ多くの人々に参加していただく機会を設けるよう努めてまいりました。それというのも、トルストイは私たち日本人にとって、ことに私たちの祖父たち、父たちの世代にとって人生の「導きの星」であったからです。トルストイの晩年は日本の明治時代末期と重なり、この意味でトルストイは明治の日本人のなつかしい「同時代人」であります。トルストイほど私たちに身近に感じられる外国作家がいないのはそのためです。

 トルストイの影響・感化は文学の面だけではなく、思想・哲学・宗教・教育等の分野に及びましたが、トルストイの教育論に共鳴し学校を設立したのが、昭和女子大学の創立者人見円吉先生です。爾来、二代目学長人見楠郎先生のご尽力によって、本国ロシアにおける「トルストイ学校」運動との緊密な交流が図られました。この教育面での着実な活動とトルストイ研究者の出会いが、研究者だけの集まりである通常の学会とは違うトルストイ協会という複合的で「開かれた」組織を生んだのです。専門家だけではなく市井のトルストイ理解者・愛好者にも門戸を開いた本協会設立の趣旨は今日までずっと継承されています。

 トルストイ没後百年にあたる2010年(平成22年)には諸方のご協力を得てトルストイを記念する数多くの行事を展開いたしました。これらの行事を通じて、日本に根付いたトルストイの影響の深さを再確認することができました。今後とも本協会はトルストイに関心をもつ人々の輪を広げる努力を引き続き行ってまいります。私たちの集まりへのご参加、ご助勢を願って止みません。

日本トルストイ協会会長 川端 香男里
(東京大学名誉教授) 
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